環境に配慮した設計『ZEB化』への取り組み

現在（2022年現在）進行中の倉敷商工会館の建替えプロジェクトは、レジリエンス強化型の「ZEB Ready」認定を受けており、これは全国の商工会館初のZEB（Net Zero Energy Building）への取り組みとなりました。
最大の特徴としては、断熱材と高い性能のガラスで外皮性能を上げ、エネルギー効率の高い設備機器を採用するなどの環境配慮によって、一次消費エネルギーの５０％以上削減を実現しています。

レジリエンス強化型ZEBを実現するための省エネ技術

１．屋根の高断熱化
２．外壁の高断熱化
３．床裏の高断熱化
断熱材として、現場発泡ウレタンフォームを通常の３～４倍の厚みで吹付けしています。

４．床下の高断熱化
断熱材として、厚み50ｍｍのポリスチレンフォームを敷いています。

５．開口部の高断熱化
窓ガラスにはＬｏｗ－Ｅ複層ガラスを採用し、太陽からの熱を遮蔽しつつ高い断熱性能を実現しています。

６．昼光利用
事務所、会議室、テナント内に自然光を取り込み、照明負荷を低減しています。

７．高効率空調機
ビル用マルチエアコンが、人感センサーで人の有無を判断し、エリアごとに風向きを自動制御しています。また、輻射温度センサーと組み合わせることで室温変化を予測して、空調能力を自動制御しています。

８．高効率空調機（全熱交換機）
全熱交換機により、換気のために取り入れた空気を室温に近づけ、自動制御により換気風量を最適化することで、空調機の負荷を低減しています。室内のCO2濃度を段階的に検知することで換気風量を調整しています。

９．高効率給湯器
高効率ヒートポンプ方式の給湯器とすることで、省エネの実現と共にCO2排出量を削減しています。

１０．ＬＥＤ照明
昼光センサーによる調光制御と、人感センサーによる点消灯制御を行っています。

１１．超高効率変圧器
トップランナー基準の第一次判断基準からさらに全損失を20％以上低減しています。

１２．太陽光発電パネル
屋上に約１１Kwの太陽光発電パネルを設置しています。

１３．蓄電池
リチウムイオン蓄電システムを屋内に設置しています。停電時には非常用発電機と併用して災害対策室や避難場所となる室に電源を供給します。

１４．ＢＥＭＳ
建物全体のエネルギーの利用状況を把握し、定期的なデータ分析により省エネ効果を検証し、対策を講じるなど運用改善に活用しています。

また、デザイン的にも倉敷商工会館の姿を、瀬戸内を進む風と動力のハイブリッドで推進する外輪付の帆船をイメージしています。
これは、江戸時代に天領として発展した倉敷が、維新の没落から再生を目指して、紡績工場を立ち上げるために山口県からレンガを航路で運び込んだ史実からインスピレーションを得たものです。
また、建築デザインにかかわる人々の思いを重ねる浦辺鎮太郎の「人と建築に具象化する」手法に学んだものでもあります。

＞＞「倉敷商工会館」プロジェクト詳細はこちら

環境に配慮した設計

私たちは待ったなしのCO2排出削減目標の達成を目指して、ゼロエネルギービルディングに取り組むことを基本的方針とします。
・所員のCASBEE評価員資格の取得
・一定の省エネルギー性能を確保する設計検討
・省エネルギー効果と経済効果を合わせて検証し、効果的な省エネ技術導入の検討・提案

また更に省エネルギーな設計を目指し、ZEBプランナー(※1)として、ZEB(※2)化への実現検討や普及に努めております。ZEB化への検討時には、企画・設計段階からZEBの補助金申請も視野に入れたスケジュール調整や検討・書類作成のサポートにも対応を致します。
※１：
ZEBプランナーとは、ZEB化実現に向けた相談窓口を有し、建築設計等の業務支援を行い、活動を公表するものとして、登録した法人のことをいいます。
※２：
ZEBとは、ネット･ゼロ・エネルギー・ビルの略称のことであり、快適な室内環境を保ちながら、高断熱化・日射遮蔽・自然エネルギー利用・高効率設備の利用などによる省エネルギーに努め、その上で太陽光発電など再生可能エネルギーを導入することで、建築物が年間で消費するエネルギーが正味ゼロ、あるいは概ねゼロとなる建築物のことをいいます。

ZEB（Net Zero Energy Building）の定義

○ZEB:
年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロ又はマイナスの建築物

○Nearly ZEB:
ZEB Readyの要件を満たしつつ、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた建築物

○ZEB Ready:
外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備等を備えた建築物

○ZEB Oriented:
ZEB Readyを見据えた建築物として、外皮の高性能化及び高効率な省エネルギー設備に加え、更なる省エネルギーの実現に向けた措置を講じた建築物